こんにちは。税理士の蛇沼です。
「子どもに生前贈与をしたいけれど、自分で進めても大丈夫?」
「贈与契約書を作って振り込めば、それで十分なの?」
このような疑問はありませんか?
生前贈与は、税理士に依頼せずに自分で進めることもできます。
ただし、契約書や振込記録を残すだけで、税務上の問題がなくなるわけではありません。
大切なのは、贈与する人と受け取る人が合意し、実際に財産を渡し、受け取った人の財産として管理することです。
また、贈与税の申告や届出が必要かどうかは、贈与の金額や選択している課税制度、利用する特例によって異なります。
この記事では、主に親から成人した子どもへ現金を贈与する場合を想定し、贈与契約書、銀行振込、口座管理の確認ポイントを解説します。
未成年の子どもへの贈与や、不動産・株式の贈与などは、別途確認が必要です。
- 贈与の合意を記録する契約書の作り方
- 銀行振込でお金の移動を記録するポイント
- 名義預金と判断されないために確認したい口座管理
- 贈与税の申告や税理士への相談を検討したいケース
贈与の合意を確認し、契約書で記録を残しましょう
生前贈与では、贈与する人の「あげる」という意思と、受け取る人の「もらう」という意思が一致していることが基本です。
親が子ども名義の口座へ一方的に振り込むだけでは、双方が贈与に合意していたかを説明しにくくなります。まずは、誰に何を贈与するのかを、双方で確認しましょう。
贈与契約書に記載しておきたい項目
現金を贈与する場合は、次の内容を記録しておくと、贈与の内容を後から確認しやすくなります。
- 贈与する人と受け取る人の氏名・住所
- 贈与する金額
- 贈与の合意日と、お金を渡す日
- 振込先など、お金を渡す方法
- 双方が合意したことを確認できる署名など
紙で作成する場合は、双方が署名し、それぞれ保管しておく方法があります。
契約書の内容は、実際の合意やお金の移動と一致させることが大切です。
日付をさかのぼらせたり、実際には合意していない内容を記載したりしないようにしましょう。
契約書だけで税務上の判断が決まるわけではありません
契約書がないことだけで、直ちに贈与が否定されるわけではありません。一方、契約書があっても、実際には財産を渡していない場合や、贈与する人が自分の財産として使い続けている場合などは、実態の確認が必要です。
契約書に加え、振込記録や贈与後の管理状況も合わせて、説明できるようにしておきましょう。
毎年贈与する場合は、その年ごとに贈与するかどうかと金額を確認し、実際の合意内容を記録します。
参考:国税庁「贈与税がかかる場合:贈与を受ける財産の取得の時期」
お金の移動は銀行振込で記録を残しましょう
現金を贈与する場合は、贈与する人の口座から、受け取る人本人の口座へ振り込む方法がおすすめです。
銀行振込を利用すると、いつ、誰から、いくら受け取ったかを取引履歴で確認しやすくなります。
契約書と振込記録をセットで保管する
振込後は、次の資料を保管しておきましょう。
- 贈与の合意内容を記載した契約書
- 振込日・金額・振込先が分かる利用明細や取引履歴
- 受け取る人の口座への入金が分かる取引履歴
通帳がない口座では、インターネットバンキングの取引明細をダウンロードするなど、後から確認できる形で残しておきます。
実際の振込日や金額が契約書と異なる場合は、その理由や変更の合意も記録しておきましょう。
振込履歴だけで贈与の実態が確認できるわけではありません
銀行振込は、お金の移動を説明する資料です。
双方が贈与に合意していたことや、贈与後の管理状況まで証明するものではありません。
子ども名義の口座に振り込んでも、親が自分の財産として自由に出し入れしている場合などは、別途確認が必要です。
なお、現金を手渡ししたことだけで、贈与が否定されるわけではありません。
ただし、振込に比べてお金の移動を確認しにくいため、受領書などで受け取った日・金額・双方の確認を記録しておくとよいでしょう。
子ども名義の口座でも「誰の財産か」を確認しましょう
子ども名義の口座にお金を入れただけで、子どもへの贈与が成立しているとは限りません。
名義は子どもでも、実際には親の財産と判断される預金は、相続の際に親の相続財産に含まれることがあります。
誰の財産かは、口座の名義だけでなく、お金の出所、贈与の合意、通帳などの管理状況、実際の出し入れや運用状況などから確認されます。
成人した子どもへの贈与で確認したいこと
次の点を確認しましょう。
- 子どもが贈与の内容を理解し、受け取ることに合意しているか
- 子どもが口座の存在や残高を把握しているか
- 通帳・カード・インターネットバンキングなどを、本人が管理できる状態か
- お金の使い道や運用を、本人が決められるか
- 親が自分のお金として自由に引き出していないか
親が管理を手伝う場合も、本人の意思に基づく管理なのか、親が自分の財産として管理しているのかを区別することが大切です。
贈与を受けたお金を、無理に使う必要はありません
贈与の事実を示すためだけに、買い物や引き出しをする必要はありません。
受け取った人が、自分の意思で将来のために貯蓄することもあります。
使った実績の有無だけでなく、贈与の合意や、誰が管理・処分できるかという実態が大切です。
未成年の子どもへの贈与は、成人への贈与と分けて考える
未成年の子どもの財産を、親権者が管理することもあります。
そのため、親が通帳を管理しているという理由だけで、必ず名義預金になるとはいえません。
一方で、子どもの財産として管理している実態や、贈与を受ける際の代理・同意について確認が必要です。
未成年の子どもへの贈与を検討している場合は、個別の状況に応じて相談しましょう。
贈与税の申告・届出が必要か確認しましょう
贈与契約書を作り、お金を振り込んだ後は、贈与税の申告や届出が必要かを確認します。
暦年課税の年110万円は、受け取る人ごとの合計で判断する
暦年課税では、受け取る人がその年の1月1日から12月31日までに贈与された財産を合計して判断します。
ほかの非課税制度などを利用しない通常の贈与では、年間の合計額が110万円以下なら、原則として贈与税の申告・納税は不要です。
例えば、同じ年に父から100万円、母から100万円を受け取った場合は、合計200万円です。
贈与する人ごとに110万円の基礎控除があるわけではありません。
年110万円の基礎控除と、相続時の加算については、年110万円の生前贈与の記事で詳しく解説しています。
相続時精算課税や特例を使う場合は、手続きも確認する
相続時精算課税を初めて選択する場合は、年110万円以下の贈与でも、期限までに選択届出書などの提出が必要です。
また、住宅取得等資金の非課税など、税額がゼロでも申告が必要な特例があります。
「税金がかからない」と「手続きがいらない」は、同じではありません。
利用する制度の要件と、申告・届出の期限を確認しましょう。
制度の違いは、相続時精算課税の記事もご覧ください。
自分で判断しにくい場合は、贈与する前に相談する
次のような場合は、贈与を進める前に税理士などへ相談すると、確認すべき点を整理しやすくなります。
- 不動産や非上場株式など、評価や名義変更が必要な財産を贈与する
- 相続時精算課税や住宅取得等資金の非課税を利用したい
- 過去の贈与や家族名義の預金の扱いが分からない
- 未成年の子どもへの贈与で、契約や管理方法に迷っている
- 贈与税と将来の相続税を合わせて比較したい
贈与する人自身の生活費や医療・介護費を確保できるかも確認し、無理のない金額を検討しましょう。
まとめ:贈与の合意・記録・管理・手続きを確認しましょう
生前贈与を自分で進める場合は、次の4点を確認しましょう。
- 贈与する人と受け取る人が、内容に合意しているか
- 契約書や振込記録を、実際の内容に合わせて残しているか
- 受け取った人の財産として管理されているか
- 贈与税の申告や届出が必要か
契約書を作ることや振り込むことだけでなく、実際に誰の財産として扱われているかが大切です。
また、生前贈与を始める前には、贈与する人自身の生活資金と、将来の相続税への影響も確認しておきましょう。
生前贈与をするか迷っている方は、生前贈与を始める前に確認したい5つのポイントをご覧ください。
相続・贈与について、知りたい内容から記事を探す場合は、相続・贈与ガイドをご活用ください。
親が元気なうちに家族で確認しておきたいことは、次の記事でも紹介しています。

生前贈与の進め方に迷ったら、ご相談ください
「今の口座管理で問題がないか確認したい」
「贈与税の申告や届出が必要か分からない」
「生前贈与と相続税を合わせて検討したい」
蛇沼浩之税理士事務所では、ご家族の状況や財産の内容を伺い、生前贈与の進め方と税務上の確認事項を整理するお手伝いをしています。
初回60分のご相談は無料です。 名古屋市緑区を中心に周辺地域への訪問相談にも対応しています。
贈与を始めるか決まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。
初回60分無料|相続税の簡易診断にも対応
生前贈与を自分で行う場合のよくあるご質問
Q. 年間110万円以下の贈与なら、贈与税の申告は必要ありませんか?
暦年課税を選択している場合、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、原則として贈与税の申告・納税は必要ありません。
ただし、110万円は「贈与する人ごと」ではなく、贈与を受ける人1人あたりの年間の基礎控除額です。
たとえば、同じ年に父から100万円、母から100万円の贈与を受けた場合は、合計200万円として考えます。
Q. 110万円以下の贈与でも、贈与契約書は作った方がよいですか?
はい。贈与税の申告が不要な金額であっても、贈与契約書を作成しておくことをおすすめします。
贈与契約書がないからといって直ちに贈与が否定されるわけではありませんが、「いつ・誰から誰へ・いくら贈与したのか」を客観的に説明する資料になります。
毎年贈与する場合は、その都度契約書を作成しておくとよいでしょう。
Q. 子ども名義の口座に振り込めば、生前贈与として認められますか?
子ども名義の口座に振り込めば、生前贈与として認められますか?
振り込んだだけで判断されるわけではありません。
贈与する人と受け取る人が合意しているか、誰の財産として管理されているかなど、実際の状況を確認します。
成人した子どもへの贈与では、本人が贈与の内容を理解し、自分の財産として管理・処分できる状態にしておくことが大切です。
未成年の子どもについては、親権者が子どもの財産を管理する場合もあるため、親が通帳を管理していることだけで、必ず名義預金になるとはいえません。
Q. 毎年110万円ずつ贈与すると「定期贈与」とみなされますか?
毎年110万円を贈与したという事実だけで、直ちに定期贈与になるわけではありません。
ただし、最初から「10年間にわたって毎年110万円、合計1,100万円を贈与する」といった約束をしていた場合には、その約束自体が贈与として扱われる可能性があります。
毎年贈与するのであれば、その年ごとに贈与するかどうかを決め、贈与契約を成立させることが基本です。
当事務所の詳しいサポート内容や料金プランについては、以下より公式ホームページをご覧ください。
👉 >> 蛇沼浩之税理士事務所・公式ホームページはこちら


コメント