こんにちは。税理士の蛇沼です。
「カフェで仕事をしたときの飲み物代は、経費になる?」
「自宅で仕事をしているので、家賃の一部を経費にしたい」
「知人との食事で仕事の話をした場合は、どう判断する?」
日々の支出には、仕事と私生活の両方に関わるものがあります。
経費にできるかどうかは、実際の支出内容と事業との関係をもとに判断します。 領収書があることや、仕事のためだったと説明することだけで、必ず経費になるわけではありません。
個人事業主の場合は、私的な支出と事業に必要な支出を区別し、両方に関わる費用は、事業に使った部分を明確にすることが大切です。
法人の場合も、会社の業務に関する支出かを確認する必要があります。社長個人の生活費を会社が負担する場合は、役員給与などの別の問題が生じることがあります。
この記事では、カフェ代、自宅兼事務所の家賃・水道光熱費、取引先や知人との食事代を例に、判断の考え方と残しておきたい記録を解説します。
- カフェ代と事業との関係を確認するポイント
- 自宅家賃・水道光熱費の家事按分の考え方
- 仕事に関する飲食と、私的な食事を区別するポイント
- 個人事業主と法人で扱いが異なる点
- 領収書と一緒に保管したい利用目的や計算の記録
カフェ代は、利用目的と事業との関係を確認する
カフェの飲み物代などは、業務上の打ち合わせや作業のための支出として、経費にできる場合があります。
ただし、カフェでパソコンを開いたことや、仕事の本を読んだことだけで、必ず経費になるわけではありません。
打ち合わせや業務上の作業で利用した場合
取引先との打ち合わせ、訪問前の資料確認、具体的な案件の作業など、事業との関係を確認できるかが判断のポイントです。
一人で利用した場合も、作業内容、利用した経緯、時間、金額などを踏まえて検討します。
事務所があるから必ず経費にできない、事務所がないから必ず経費にできる、というものではありません。
私的な飲食や休憩とは区別する
友人との私的な雑談、趣味の読書、飲み物や食事を楽しむことが主な目的の場合は、仕事の支出と同じ扱いにはできません。
「気分転換になった」「仕事の効率が上がると思った」という理由だけでは、事業との関係を十分に説明できない場合があります。
個人事業主の通常の食事代は、原則として生活費です。仕事の途中で食べたという理由だけで、必要経費にはなりません。
領収書と一緒に、利用した事実を記録する
次の情報を、領収書や予定表などと合わせて残しておきましょう。
- 利用した日と店舗
- 打ち合わせの相手や対象となる案件
- 実際に行った作業と利用目的
- 私的な利用が混在する場合の区分
記録は、実際の利用内容に合わせて残します。後から仕事の理由を書き足せば、私的な支出が経費に変わるわけではありません。
参考:国税庁「必要経費の知識」
自宅家賃・水道光熱費は、事業に使う部分を区分する
個人事業主が自宅で仕事をしている場合、家賃や水道光熱費のうち、事業に必要な部分を明確に区分できれば、その部分を必要経費にできる場合があります。
仕事と生活の両方に関わる費用を、実際の使用状況に応じて分けることを「家事按分」といいます。
費用の性質に合った基準を使う
家賃は仕事で使う面積、電気代は機器の使用状況や作業時間など、費用の性質に合った基準を検討します。
家賃・電気代・水道代を、すべて同じ割合にする必要はありません。 例えば、水をほとんど使わない仕事であれば、水道代を事業用として計上する根拠があるかを確認しましょう。
居間などを仕事と生活で共用している場合は、面積だけでなく、使用時間や使い方も踏まえて検討します。
家賃の計算例と根拠を残す
例えば、月額家賃10万円、住居全体50㎡のうち10㎡を事業専用として使っており、面積による区分が実態に合っている場合は、次の計算が考えられます。
10万円×10㎡÷50㎡=月2万円
これは例であり、どの家庭でも20%を経費にできるという意味ではありません。
賃貸借契約書、間取り図、仕事部屋の使用状況、計算方法などを保管し、利用状況が変わったときは割合を見直しましょう。
持ち家や家族への家賃は、別途確認する
持ち家の場合は、自分に家賃を払ったことにして経費にすることはできません。建物の減価償却費や固定資産税などについて、事業用部分を確認します。
住宅ローンの元本返済額も、必要経費にはなりません。
また、個人事業主が生計を一にする配偶者などの親族へ支払う家賃は、原則として必要経費にならないため、通常の家事按分とは分けて確認が必要です。
法人が社長の自宅を使う場合は、契約関係も確認する
法人と社長個人は別の主体です。社長個人が負担する家賃の一部を、個人事業主と同じ感覚で会社の経費にするとは限りません。
法人が借りる範囲、賃貸借・転貸借の契約、賃料の妥当性、実際の使用状況などを確認します。個人側の所得や、会社が私的な住居費を負担する場合の給与課税も含めて検討しましょう。
参考:国税庁「必要経費の知識」
取引先・知人との食事代は、事業上の目的を確認する
食事の相手が友人や知人でも、事業に関係する相手として打ち合わせや接待を行う場合は、経費として検討できることがあります。
ただし、食事中に仕事の話が出たというだけで、私的な食事代が経費になるわけではありません。
相手との関係と、飲食の目的を確認する
具体的な案件の打ち合わせ、取引先との関係維持、業務上必要な情報交換など、事業との関係を確認します。
「いつか仕事につながるかもしれない」という漠然とした理由だけで判断せず、実際の目的と内容を確認しましょう。
私的な集まりが主な目的で、仕事の話を少しした程度の場合は、事業上の飲食とは区別する必要があります。
法人は交際費等の税務上の取扱いも確認する
法人の場合は、事業に関係する飲食でも、交際費等に該当するか、税務上どの範囲を損金にできるかを確認します。
2024年4月1日以後に支出した飲食費では、一定の記録を保存するなどの条件を満たせば、1人当たり1万円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外できる制度があります。
ただし、専ら自社の役員・従業員やその親族に対する接待等は、この制度の対象ではありません。
「1人1万円以下なら、私的な食事も経費になる」という意味ではありません。 また、個人事業主の必要経費を判断するための一律の上限でもありません。
参加者・目的・金額を記録する
領収書などと合わせて、次の情報を残しましょう。
- 飲食した日
- 参加者の氏名や会社名、事業との関係
- 参加人数
- 打ち合わせや接待などの具体的な目的
- 飲食費の金額、店舗名と所在地
法人の1人当たり1万円以下の制度を利用する場合は、必要な記載事項がそろっているかも確認します。
記録は、実際の飲食の内容に合わせて残すことが大切です。メモがあれば必ず経費として認められるわけではありません。
車の費用、出張旅費、仕事着についても、事業との関係と私的な利用の区分を確認することが大切です。
それぞれの判断で確認したい点は、次の記事で紹介しています。

まとめ:事業との関係と、私的な支出との区分を確認しましょう
カフェ代・自宅家賃・食事代を経費として検討するときは、次の3点を確認しましょう。
- 実際に何のために支出したか
- 事業用と私用が混在する場合、事業用部分を区分できるか
- 個人事業主と法人、それぞれの税務上の条件を満たしているか
領収書や説明のメモがあるだけで、私的な支出が経費になるわけではありません。
利用目的、参加者、使用状況、按分の計算など、実際の支出に合った記録を残しておくことが大切です。
日々の経費の判断に迷ったら、ご相談ください
「自宅家賃をどの割合で按分すればよいか」
「仕事と私用が混在する支出を、どう整理すればよいか」
「個人で支払った費用を、会社で精算できるか」
蛇沼浩之税理士事務所では、支出の内容や利用状況を確認し、経費の区分と記録の残し方を整理するお手伝いをしています。
日々の経理で判断に迷うことがあれば、具体的な領収書や契約内容とともにご相談ください。
当事務所の詳しいサポート内容や料金プランについては、以下より公式ホームページをご覧ください。
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