こんにちは。税理士の蛇沼です。
前編では、生命保険が持つ「非課税枠」や「口座凍結の防止」といった、確実に家族を守るための基本をお話ししました。
今回の後編では、「手元にあるお現金をただ眠らせておくのはもったいない」「子どもや孫に、将来の相続税の支払いで苦労させたくない」という方のための「攻めの生命保険活用術」をお届けします。
実は、2024年(令和6年)の法改正で生前贈与のルールが厳しくなった今だからこそ、生命保険を組み合わせた「攻めの戦略」が猛烈に注目されています。
利回りの力を借りて、未来の納税資金を豊かに育てる裏ワザを徹底解説します。
📌まだ前編を読まれていない方は、まずはこちらからチェックしてみてくださいね。

複利の力で次の世代へ残す現金を増やす「外貨建て一時払終身保険」
「攻め」の選択肢としてまず挙げられるのが、米ドルや豪ドルなどの海外の通貨で運用する「外貨建て一時払終身保険」です。
日本でも少し金利が上昇し始めていますが、円建ての保険にお金を預けても、将来受け取れる保険金は劇的には増えません。
しかし、海外(特に米国など)は日本に比べて金利が圧倒的に高いため、外貨で運用する保険を活用することで、その高い金利の恩恵をダイレクトに受けることができます。
仕組みはとてもシンプルです。
- 手元にあるまとまったお金(円)を、一括で保険料として支払う。
- 保険会社がそれを米ドルなどに換算し、海外の高い金利で増やす。
- 万が一のとき、大きく増えた死亡保険金を家族(受取人)が受け取る。
前編でお話しした「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠を使いつつ、ただ銀行に眠らせておくはずだった現金を、次の世代へ残すときには何倍にも大きく膨らませてバトンタッチできる。これが外貨建て保険の1つ目の「攻め」の魅力です。
契約時の利回りが20年間保証される商品もあり、複利の効果で大きく現金を増やすことが可能です。
例えば年率4.5%で契約した場合、20年後の保険金額は払い込んだ保険料の約2.4倍、30年後には3.7倍にまで増える計算になります。
解約払戻金も同じように増えていくので、解約して介護施設の入居費用に充てたり、海外旅行などの老後の趣味に使ったりすることもできます。
ただし、為替リスクや金利変動のリスクがありますので、余裕資金で加入することが大切です。
【究極の掛け算】生前贈与(暦年贈与)× 外貨建て保険で子どもの手元を潤す
さらに強力で、私が今一番おすすめしたいのが、第1部で解説した「年間110万円の生前贈与(暦年贈与)」と生命保険を掛け合わせる戦略です。
2024年の法改正によって、亡くなる前「7年以内」の生前贈与は、相続のときに無かったことにされる(相続税の対象に引き戻される)という厳しいルールになりました。
そこで、以下のような仕組み(スキーム)を回します。
- 親から子ども(または孫)へ、毎年110万円の範囲内でコツコツ生前贈与する。
- もらったお金を使って、子ども(孫)が契約者(お金を払う人)となり、子ども(孫)名義で外貨建ての保険(平準払いの終身保険など)に加入し、毎年の保険料を支払う。
- 被保険者(万が一の対象)を親にしておく。
この掛け算を行うと、何が起きるでしょうか?
親が亡くなったとき、子ども(孫)は「自分が契約して、自分が保険料を払ってきた保険」から死亡保険金を受け取ることになります。このときにかかる税金は、相続税ではなく、実は一番税負担が軽くなりやすい「所得税(一時所得)」の対象になるのです。
さらに、子ども(孫)名義の口座の中で海外の高金利によってお金が自動的に増えていくため、「親の相続財産を合法的に減らしながら(生前贈与の効果)、子ども(孫)の手元で未来の納税資金を利回りでガッツリ増やす」という、一石二鳥の究極の納税準備が完成します。
孫への贈与の場合は7年引き戻しルールの影響も受けない可能性が高いので、これからの新時代のスタンダードと言えます。
手元資金に余裕があり、相続税額も高額になる見込みの場合には、「相続時精算課税」という制度を活用して一時払いの終身保険に加入する方法も検討の余地があります。一時払いにすることで、子ども(孫)名義の財産の増加スピードが大きく上がります。
税務調査を想定した「攻めの実務」!名義預金と言わせない3つの鉄則
この「生前贈与 × 保険」の攻め技は非常に強力ですが、やり方を間違えると、税務調査が入ったときに税務署から「これは贈与ではなく、親が子どもの名前を借りて保険に入っていただけ(名義保険・名義預金)」だと否認され、すべて親の財産として相続税を課されてしまうリスクがあります。
税務署に否認されないために、以下の3つの鉄則を必ず守ってください。
贈与契約書を毎年必ず作成する
第1部でもお伝えした通り、「親が子どもに110万円を贈与し、子どもがそれを確かにもらった」という証拠の紙を、贈与を行う前に毎年作成します。
一度、子どもの「個人口座」にお金を通す
親の口座から保険会社へ直接保険料が引き落とされるような形は絶対にNGです。必ず「親の口座 ⇒ 子どもの口座 ⇒ 保険会社の引き落とし」という、お金の流れを通帳の記録(履歴)として残してください。
保険の契約手続きは「子ども自身」が行う
書類のサインや印鑑は、必ず子ども自身(受取人・契約者となる本人)にやらせてください。
親が勝手に名前を代筆して入った保険は、名義保険の格好の標的になります(子どもが未成年の場合は親権者である親が代わりに契約します。)。
知っておくべき「外貨建て」ならではの注意点とリスク
高い金利で財産を増やせる外貨建て保険ですが、攻めの裏には必ずリスクがあります。加入を検討する際は、次の2つのポイントをしっかり理解しておきましょう。
為替リスク(円高のリスク)
米ドルなどで運用するため、保険金を受け取るタイミングで「歴史的な超円高」になっていた場合、円に換算したときの金額が、最初に支払った元本を下回ってしまう(元本割れ)リスクがあります。
ただし、多くの保険では「円高のときはドルでそのまま受け取り、円安になるまでドルのまま据え置く」といった特約が選べるため、出口の戦略を事前に練っておけば過度に恐れる必要はありません。
受け取ったドルで保険料の払い込みを行い、また新しいドル建て一時払終身保険に加入すること、為替の影響を最小限に抑えて運用を継続することも可能です。
金利変動リスク(市場価格調整)
外貨建て一時払終身保険の多くは、世界の金利情勢(市場金利)の動きに合わせて、定期的に積立利率が見直される仕組みになっています。
ここで特に注意が必要なのが、加入時よりも世の中の金利が「上昇」しているときに、途中で解約する場合です。
この場合、「市場価格調整(MVA)」という仕組みが働き、解約返戻金が大きく減らされて元本割れしてしまうリスクが高まります。
金利変動の影響を受けずに大きな利回りを得るためには、途中で解約する必要のない「完全な余剰資金(当面使う予定のない長期のお金)」で運用することが絶対条件です。
最後に:法改正に負けない「正しい終活」を今から始めましょう
前後編にわたり、生命保険を使った相続対策について解説してきました。
法律が厳しくなったからこそ、ただ何もせず現金を残すのではなく、保険や贈与を上手に組み合わせる「賢い仕組みづくり」が運命を分けます。
「我が家の場合は、円建てと外貨建て、どっちを組み合わせるのがおトク?」
「子ども名義の保険を税務署に突っ込まれないように今すぐスタートしたい」
という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
当事務所では、名古屋市緑区を中心に、近隣の南区、東海市、大府市などへの「初回60分無料相談(出張相談)」を行っています。
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