こんにちは。税理士の蛇沼です。
「仕事に役立つ本やセミナー代は、経費になる?」
「仕事にも使うスマホや自宅のネット料金は、どう分ける?」
「商売繁盛の祈祷料は、個人と法人で扱いが違う?」
学びや仕事環境に関する支出は、事業と私生活の両方に関わることがあります。
「自己投資だから」「仕事の意欲が上がるから」という理由だけで、すべてを経費にできるわけではありません。 実際の内容と事業との関係、私用の有無、税務上の取扱いを確認することが大切です。
この記事では、個人事業主と法人に向けて、書籍・セミナー代、スマホ・インターネット料金、商売繁盛の祈祷料を例に、判断の考え方と残しておきたい資料を解説します。
- 書籍やセミナーの内容と、事業との関係を確認するポイント
- 新しい事業の準備にかかる支出の注意点
- スマホ・ネット料金の事業用と私用を区分する方法
- 法人が個人の費用を負担する場合の確認事項
- 祈祷料や寄附金について、個人と法人で扱いが異なる点
書籍・セミナー代は、内容と事業との関係を確認する
書籍やセミナーの費用は、業務上必要な知識や技能を得るための支出として、経費にできる場合があります。
ただし、「ビジネス書」「自己投資」という名称だけで、全額を経費にできるわけではありません。
現在の業務にどう関係するかを確認する
専門書、業務に関する法令や技術の解説書、実務研修などは、内容と事業との関係を確認します。
マーケティングや経営に関する講座も、自社の業務にどう関係するかを具体的に整理しましょう。
趣味や私生活のための読書・講座は、業務上の支出とは区別します。私的な内容も含まれる場合は、事業用部分を区分できるかを検討します。
新しい事業の準備費用は、目的と計上時期も確認する
新規事業のための勉強や調査でも、具体的な事業計画や準備との関係を確認する必要があります。
新しい事業に関係する支出だからといって、すべてを支払った年度の経費にできるとは限りません。
開業前の費用、資産の取得に関わる費用、将来のサービス提供に対する前払いなどは、その内容と時期に応じた処理を確認します。
法人が役員・従業員の受講料を負担する場合
法人では、会社の業務に必要な研修なのか、受講者個人の趣味や私的な資格取得なのかを確認します。
私的な費用を会社が負担する場合は、給与としての課税などを検討する必要があります。
資格や講座の名称だけで判断せず、職務との関係、受講内容、会社が負担する理由を整理しましょう。
講座の内容と受講記録を残す
領収書だけでなく、次の資料を保管しておきましょう。
- 講座の案内、カリキュラム、配布資料
- 受講者、受講日、受講期間が分かる記録
- 業務との関係や受講目的のメモ
- 契約内容と、料金に含まれるサービスの内訳
「説明できれば必ず経費になる」ということではありません。実際の内容を確認できる資料を残すことが大切です。
参考:国税庁「必要経費の知識」
スマホ・ネット料金は、実際の使用状況に応じて区分する
個人事業主が仕事と私生活で同じスマホやネット回線を使う場合は、事業に必要な部分を明確に区分して、必要経費を計算します。
「仕事にも使うから全額」「一律に半分」と決めるのではなく、実際の使い方に合った基準を検討しましょう。
通話・通信の実態に合う基準を使う
通話料は業務上の通話履歴、ネット料金は利用者や業務での使用状況などを確認します。
基本料金や定額プランも、事業用と私用の利用実態を踏まえた区分が必要です。
パソコンで仕事をした時間を、起きている時間で割るだけでは、家族の利用やスマホの私用を反映できない場合があります。
代表的な期間の利用状況などを確認し、その割合を使う理由と計算方法を記録しておきましょう。
仕事専用の契約も、実際の利用を確認する
業務専用の回線や端末を設けると、費用を整理しやすくなります。
ただし、「仕事用」という契約名や、自分で決めた用途だけで、全額を経費にできるとは限りません。実際に私用や家族の利用がないかも確認します。
また、スマホ本体の購入費と毎月の通信料は別に整理し、本体については金額などに応じて資産計上や少額資産の取扱いを確認しましょう。
法人が個人の通信費を負担する場合
法人が役員・従業員の私用スマホを業務にも使う場合は、業務利用分の精算方法や計算基準を決めておきます。
本人や家族の私的な通信費まで会社が負担すると、給与課税などの問題が生じる場合があります。
会社契約の端末についても、利用ルールと私用分の扱いを整理しましょう。
請求明細と按分の根拠を保管する
料金明細、通話記録、利用状況のメモ、按分の計算表などを保管します。
仕事内容や契約、家族の利用状況が変わった場合は、計算基準も見直しましょう。
参考:国税庁「必要経費の知識」
商売繁盛の祈祷料は、支出の内容と個人・法人の違いを確認する
神社や寺院への支払いは、「商売繁盛のため」という理由だけで、必ず全額を経費にできるわけではありません。
祈祷料、寄附、お札などの購入費では支出の内容が異なるため、名称だけでなく実態を確認します。
法人では、寄附金に該当するかを確認する
法人が神社などに支出した金額は、その内容によって寄附金として扱う場合があります。
寄附金として会計上の費用に計上しても、税務上その全額を損金にできるとは限りません。 一般の寄附金には損金算入限度額があり、その年度の他の寄附金と合わせて確認が必要です。
また、役員個人が負担すべき私的な祈願や寄附を会社が負担した場合は、寄附金ではなく、役員への給与などとして扱われることがあります。
個人事業主では、私的な信仰と事業上の支出を区別する
個人の初詣や私的な祈願、お賽銭などは、通常、生活上・信仰上の支出として考えます。
一方、工事現場の地鎮祭や安全祈願など、具体的な事業活動に関わる支出は、一般的な初詣とは分けて、目的と内容を確認します。
「個人事業主だからすべて不可」「商売繁盛と書けば経費」と一律に判断せず、実際の支出内容に応じて検討しましょう。
領収書と、行事・支出の内容を記録する
支払日、支払先、金額、行事の内容、事業との関係が分かる資料を保管します。
領収書が発行されない場合は、出金記録などで実際の支払いを記録しましょう。ただし、出金伝票やお札の写真があるだけで、税務上の処理が認められるわけではありません。
判断に迷う場合は、行事の内容や支払いの内訳を税理士に伝えて確認しましょう。
カフェ代・自宅家賃・食事代についても、事業との関係と私用分の区分を確認することが大切です。
日々の支出の判断で確認したい点は、次の記事で紹介しています。

まとめ:事業との関係・私用分・税務上の条件を確認しましょう
書籍・セミナー代・通信費・祈祷料を処理するときは、次の3点を確認しましょう。
- 実際の内容が事業にどう関係するか
- 私的な利用や支出を区分できるか
- 資産計上、給与課税、寄附金の限度額などの確認が必要か
「自己投資」や「仕事の意欲を高める支出」という理由だけで、全額を経費にできるわけではありません。
講座の資料、通信の利用状況、支払いの内訳などを保管し、実際の内容に合った処理を確認しましょう。
学びや仕事環境に関する費用の処理で迷ったら、ご相談ください
「高額な講座やコンサルティング費用を、どう処理すればよいか」
「スマホ・ネット料金の按分方法を確認したい」
「会社が負担する費用と、個人で負担する費用を整理したい」
蛇沼浩之税理士事務所では、契約内容、利用目的、事業との関係を確認し、費用の区分と記録の残し方を整理するお手伝いをしています。
金額が大きい契約や、新規事業の準備に関する支出は、契約前の段階からご相談ください。
当事務所の詳しいサポート内容や料金プランについては、以下より公式ホームページをご覧ください。
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